筋肉痛について
筋肉痛はなぜ起こる?
筋肉痛は、「筋肉の耐久力を超えた運動」をすることに起因して発生します。負荷の大きな運動や長時間の運動、もしくはその両方を行って筋肉が耐えられるレベルを超えると痛みが生じるのです。
多くの場合、運動中の筋肉は、縮む方向に動く「短縮性収縮(たんしゅくせいしゅうしゅく)」と伸ばされる方向に動く「伸張性収縮(しんちょうせいしゅうしゅく)」を繰り返しています。
このうち伸張性収縮は、筋肉痛を引き起こしやすい運動であるとされています。具体的には、重いものを下ろす、階段を降りる、坂道を下るなどといった動作が該当します。
歳を取ると筋肉痛の発生が遅くなる?
「年齢を重ねると筋肉痛を感じるタイミングが遅くなる」という話は、多くの方が耳にしたことがあるでしょう。実際に体感している方も多いかもしれませんが、医学的には、年齢と筋肉痛の発生が遅くなることの関係について断言されていません。
数字的な加齢よりも、からだを動かす頻度が減ったり、若いときよりも激しい運動を行う機会が少なくなったりすることが理由ではないかと考えられています。つまり、若い方でも日頃の運動習慣がほとんどない場合は、筋肉痛が遅れてやってくるようになる可能性があるのです。
また、以下のような要素は筋肉痛の“程度”に影響を与えるといわれています。
・性別
女性は、男性よりも筋肉の損傷が起こりにくい傾向にあります。エストロゲンという女性ホルモンに、細胞膜を保護する働きがあるからだと考えられています。
・からだの部位
腕よりも脚のほうが、筋損傷が起こりにくいとされています。これは、普段から脚のほうが伸張性収縮を伴う動作を多く行っていることが理由だと考えられます。
・年齢
筋肉痛の発生の遅れと数字的な年齢は因果関係がないとご紹介しましたが、10歳未満の子どもと高齢者は、それ以外の年代に比べて筋肉の損傷が小さいことがわかっています。ただし、この原因はまだ明らかになっていません。
筋肉痛の対処法
筋肉痛は、基本的に時間の経過とともに解消されるものです。運動後に痛みが出たら、睡眠を十分にとるなど、しっかりからだを休めてください。
マッサージによる血行促進やアイシングも対処法としてよく挙げられますが、これらの痛みを和らげる効果については、現段階でははっきりと解明されていません。
なお、痛みが残っているうちは、無理にトレーニングなどは行わないでください。特に痛みがある部分の筋肉のトレーニングは、最低でも48時間は間隔を空けて行うことをおすすめします。
なぜなら、筋肉に負荷を与えてから48~72時間ほどの休息の間に、筋線維が大きくなるからです。この現象は「超回復」といわれ、筋肉を大きくするには欠かせないフローです。この超回復の間は、別の部位をトレーニングするといいでしょう。
筋肉痛を予防する方法
筋肉痛を完全になくすことはなかなか難しいですが、日頃の行動や運動前後の工夫で、痛みを抑えるように努めることはできます。
日頃からからだを動かす
筋肉痛は、慣れない“伸張性収縮を伴う運動”に取り組むことによって筋肉に負荷がかかり、筋線維が損傷することで発生すると考えられます。筋線維は使わないと細くなり、ちょっとした負荷でも損傷しやすくなります。
しかし、伸張性収縮を繰り返すことで、筋損傷は起こりにくくなります。例えば、久しぶりにスクワットをすると太もものあたりが筋肉痛になりますが、1週間に1回程度のペースでかつ同じ強度で繰り返し継続していると筋肉痛は起こらなくなるのです。
そのため日頃から運動する習慣をつけ、筋肉を動かしておくことで、痛みを抑えることにつながります。
ウオーミングアップを行う
筋線維の損傷を軽減するには、運動でかかる負荷を少しずつ増やしていくことも効果的です。
いきなり強度の高い伸張性収縮を伴う運動を無理に行うのではなく、まずは準備運動やストレッチなどのウオーミングアップを必ず行いましょう。筋肉痛だけではなく、ケガを防ぐためにも重要なステップです。
筋肉痛が起こりづらい運動を取り入れる
筋肉痛を起こしたくないという方におすすめの運動は、自転車です。自転車を漕ぐ運動は短縮性収縮がメインで、筋肉痛につながりやすい伸張性収縮はほとんど伴いません。
つまり、筋肉痛のリスクを抑えながら大腿筋を大きくできるのです。また、有酸素運動でもあるので、脂肪を減らしたい方にもぴったり。通勤や休みの日などに取り入れてみてはいかがでしょうか?









